第1章

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飲み物を注文して前の方の席に座る。 テーブルとカウンターをあわせて、50席ほどの店内に、正面にステージがあり、傍らにはドラムセットや電子ピアノがある。照明も本格的で、黒と焦げ茶色の壁や床が落ち着いた雰囲気を醸し出している。 暫くすると、小柄な女の子が客の周りを廻りながら、話をしてきた。 『まー君、ひさしぶり』、『かっちゃん遅いけど大丈夫?』、『しんさん今日もありがとう』 随分、親しげに話しているなぁ。なんて、聞いていたら 「初めまして?いや二回目かな?!」なんて云いながら、手を差し出してきた。 僕も一瞬、誰か判らなかったけど、薄い記憶を辿りながら、「三度目?いや二度目ましてかな?」と云いつつ、握手に応える。 「えっ?三度目?二度目?」。彼女は今一、ピンときていない? 「前に会ったのは半年前だし、少ししか話していないから」 「えっ?N市?Y市?」ますます『?』顔の彼女。
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