第1章

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 記述によると、神の御石ははるか東方、ガンダラーラの北にそびえる世界最高峰タカイヤーマ山脈に眠っているらしい。 魔馬車オデュセウスで3日の距離、人間の足なら一年ぐらいかかるだろう。 たかがちょっとキレイなおねーちゃん一人をゲットするためにその試練は、現実的ではない。 何と言ってもシタキリー男爵も、イケメンなのである。 作者ほど飢えてはいない。ってうるさいわ! 「とりあえず、神の御石とはいかなくとも、高級なティーセットなら、許されるのではないか?」  ちなみに原作ともいえる竹取物語では、石作皇子がその辺にあった鉢を持ってきて、速攻バレたけど、めげずにアプローチしたという事だが。  シタキリー男爵いもも同じことを考えたのだった。  数週間経ったある日、シタキリー男爵はタケトリス家の宮殿を訪問した。  例によって執事のトシオリーが出迎え、品物の見聞を行う。 「ニトレア姫ご所望の品、神の御石のティーセットをお持ちしました」  シタキリー男爵は美しい木の箱に入れられたティーセットを執事に差し出す。 執事が箱を慎重に開けると、そこには実に美しい、純白のティーカップとソーサーのセットが輝いていた。 その美しいフォルムや色合いは、見るからに最高級品の陶磁器である。
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