第1章

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「おぉ、これはまさしく……」  執事のトシオリーは唸った。 パチモンだけど。  シタキリー男爵は会心の笑みを浮かべた。 「いやぁ、たまたまガンダラーラから行商人が来ましてね、尋ねてみると、偶然積み荷にあったんですよ。  これは幸運というか、神の思し召し以外の何物でもありません」 「いかにも、ふむ、いかにも」  執事のトシオリーはじっくりとうなずく。  執事はシタキリー男爵の労をねぎらい、丁重に客室へ案内した。  シタキリー男爵が客室で待つことしばらく、淡いピンク色の華やかなドレスをまとったニトレアが姿を見せた。 「まぁ、シタキリー男爵閣下」  ニトレアは輝くような笑みを見せた。 シタキリー男爵は何と言っても90点以上をマークしたイケメンである。 ニトレアも扱いが丁寧だ。 「これはニトレア姫、お目通りいただき、恐悦至極にございます」 「男爵閣下も、お元気なご様子。  それと、今じいから聞きました、神の御石のティーセットを見つけ出されたとか」  シタキリー男爵は自信満々でお辞儀をした。 「たまたま、ガンダラーラからやってきた行商人が尋ねてきまして、その者が偶然にも積み荷に入れていたのです」  そう言ってシタキリー男爵は、豪華なテーブルに置いていた木箱を開けた。
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