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そのティーセットを見た瞬間、ニトレアの右の眉が、ピクリと動いた。
しばらく沈黙した後、ニトレアは無言で部屋を出て行った。
シタキリー男爵がドキドキしながら待っていると、ニトレアは美しい木箱、それもシタキリー男爵が持ってきたのと全く同じ木箱を持ってきた。
シタキリー男爵の前にそれを置き、おもむろにそのふたを取った。
中には、シタキリー男爵が持ってきたのと全く同じ、白く美しいティーセットが入っていた。
「これは国内随一の陶器職人リトリスターの最高級品、その名も『白貴婦人』という名品です。
私の15歳の誕生日に、国王陛下よりお祝いで頂戴した品ですわ」
そう言ってニトレアはニタリと笑った。
その背後にシタキリー男爵は、
「なかなかええ根性しとるのーこらワレ」
という字の揺らめく炎を見た!
「閣下、私じつは日課で、毎朝宮殿のバラ園まで馬車で散策に行っておりますの」
「は、はい」
「明日から御者、よろしくね」
こうしてニトレアは、超イケメン御者を一人ゲットしたのである。
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