第1章

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 続いてのチャレンジャーは、ダイダラー・ボーチ子爵。  彼のお題は、火鼠の革のコート。 ホワイトアウトな吹雪の中でもポッカポカ、もりいのくず○りポッカポカである。 また、火をつけても決して燃えないと言われている。 「そもそも、火鼠なんているのか?」  ダイダラー・ボーチ子爵はそう思う。 ちなみに彼は、決勝戦開幕以来、ジャイアントな赤パンツにはまってしまい、わざとチラ見せするようにズボンをちょっとずらして履いている。 また、ディナーの時には弦楽四重奏で、スポーツ行進曲を流している。  それはさておき、色々文献を調べていると、南方のルビ砂漠の伝承で、火鼠の記述が見つかった。 「ルビ砂漠か……」  ルビ砂漠。 幾多の冒険家たちの命を飲み込んだ魔境。 砂漠ウサギがいるという根も葉もない噂、というか誰かさんのテキトーな発言を信じ、カトバンブ王国の重鎮ピーチア公爵の子息モモータスが向かい、行方しれずになった地である。 そこに住むのはラクダか毒蛇か、と言われる、非常に厳しい気候の大地である。 「ラクダか毒蛇しかいない土地に、火鼠など果たしているのか?」  いねーよ。
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