第1章

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 という天の(作者の心の)声が届くことはなく、ダイダラー・ボーチ子爵は翌日、ルビ砂漠へ向けて単身旅立った。 荷物と言えば、着替えの赤パンツが10枚ばかりだった。  作者は思い出す。 「小さい頃、馬場さんはすごかったなぁ。  ジャンボ鶴田とのコンビで、タイガー・ジェット・シンと上田馬之助の極悪コンビと戦っていたなぁ。  馬場さんのドロップキックは32門キックだったなぁ。  タイガー・ジェット・シンはいっつも凶器を使ってたなぁ」  フッ、んなこたぁどうでもいいぜ。  無駄話をしている間に、ダイダラー・ボーチ子爵は、ルビ砂漠へと足を踏み入れた。 点在する砂漠の民の村を訪ねては、火鼠の噂を訊いて回る。 「このルビ砂漠で、火鼠を見かけたという話はないだろうか?」 「オマエノカーチャン、デーベソ(いや、聞いたことがないな、すまない)」  別の村で訪ねる。 「火鼠……」 「アホガミールー、ブタノケーツー(さぁなぁ、もっと西の方じゃないのかい?)」  ダイダラー・ボーチ子爵は数日のうちにルビ砂漠が大嫌いになっていた。
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