第1章

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「そうだ、あの女、見た目や仕草は実に可憐で純真無垢な雰囲気だが、中身は信用できない。  かなりの策士だ。  不覚にもこのモモータス、あの女の口車に乗って、砂漠ウサギなる獣を追ってここまで来たが、いるのはラクダと毒蛇ばかり」 「それはひどい」  ダイダラー・ボーチ子爵は憤慨した。  てか、モモータスとかダイダラー・ボーチとか、長いから略すか。 モモとボッチにしよう。 「時にモモ様、私は水が底を突いてしまった。  その水筒に、水はありませんか?」 「ある」 「少し、分けていただけませんか?」 「それはムリ」  ボッチ、享年23。 砂漠で一人ボッチ。 なんちゃって。 テヘペロ。  続いての挑戦者は、カツカーチ大佐。 お題は「燕が産んだパールのネックレス」である。  え? せっかく略称を作ったモモとボッチはって? まぁええがな。  で、パールのネックレスなんてのは、普通にある。 もちろん大貴族の令嬢であるニトレアも、値段の付けられないような高級品を持っている。 しかし「燕が産んだ」となると、話が変わる。
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