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十分にポットが温まった頃合いでポットを湯から上げ、別に沸かして沸騰したばかりの湯を注ぎ、茶葉を入れる。
蓋をしてすぐティーコジーでポットを保温し、ヴェルサイユは一礼する。
「ニトレア殿をお呼びください」
ヴェルサイユの求めに応じ、執事のトシオリーがニトレアを呼びに出る。
やがて、婚礼衣装のような華麗な衣装をまとってめかし込んだニトレアが現れた。
ニトレアはヴェルサイユの姿を見た途端、目を丸くして真っ赤になった。
「……あ、あの……」
ニトレアは言葉を失った。
無論かわいく見せるための作戦である。
「あぁ、ニトレア殿、今から注ぎますので」
ヴェルサイユは少しぶっきらぼうに言う。
「は、はい……!」
ニトレアは少し戸惑いながら、真っ赤な顔でうなずく。
前にも言ったが、ニトレアはいつでも少女マンガの主人公のように真っ赤になれる特技がある。
ヴェルサイユはエレガントな動きで、ティーコジーからティーポットを取り出し、温めておいた二つのティーカップに紅茶を注いだ。
辺りにマスカットのような芳しい香りが広がる。
「ヴェルサイユ様、もしかして普段からお茶をご自身で?」
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