第1章

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「まぁ」  ニトレアは目を丸くしてその可愛らしいケーキに見とれた。 イチゴに透明なゼリーが薄くかけられ、生クリームのホイップも上品な印象だ。 「美味しそう……」 「今、切り分けますので」  そう言うとシドバードは、メイドにお湯と長めのナイフを持って来るように頼んだ。 道具が揃うと、彼はナイフを湯に浸け、頃合いを見て引き上げて水滴を拭き取り、実にゆっくりと、長いストロークでケーキを切り始めた。  ケーキを切るのは難しい。 下手にやると、せっかくのデコレーションケーキがグシャグシャになる。 が、シドバードの切るケーキは、全く歪むことなく、ショーケースに並ぶショートケーキのように美しく仕上がった。 試して○ッテンである。 ぜひ皆様もご家庭でお試しください。 「お待たせいたしました、どうぞ、お召し上がりください」  シドバードは皿をニトレアの前に置いた。  少し大きめの美しい皿の真ん中に、小さなショートケーキが乗っていて、その周りにはストロベリーソースが垂らしてある。 ミントの葉も添えられていて、なんとも上品な盛りつけである。
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