0人が本棚に入れています
本棚に追加
死の恐怖は親友同士を殺し合わせることもある。
死の恐怖は恋人同士を憎み合わせることもある。
兎は寂しくて死ぬと言うが、人間は怖くて死ぬ。
恐ろしくて、人は死ねるのだ。
「私は生徒会長だ。生徒を殺さないわ」
ただーーと。
崩月は漆黒の瞳を大きく見開き、
「次やったら、私はあんたの全身の骨を砕く。粉になるまで、風と共に散るまで。忘れるな」
男子生徒を恨みがましく睨み、それからーー
「えいっ」
実に軽い調子で、自分の右手で、自分の腹のど真ん中を抉った。
「……………………へ?」
痛みと疲労で憔悴しきった男子生徒は、その光景に目を疑い、考えることを放棄した。
もう、何が起こっているのか、自分には到底理解出来ない。
だから、せめて目の前の現実だけはしっかりと目に焼き付けた。
グチョッ。
グロテスクな効果音と共に、崩月は自分の腹からおびただしい量の血液を抜き出した。
噴水のごとく、彼女の内臓から噴き出る鮮血を、彼は頭から豪快に浴びた。
すると、瀕死の状態だった彼の体は、健康で綺麗な体に戻っていた。
「ここでのことは内緒ね」
最初のコメントを投稿しよう!