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それ以上は敢えて言わない。
男子生徒は、酷く怯えながら、体育館倉庫から逃げ出した。
崩月御影は過去にも同じようなことをしていた。だが、その度に自分の体を傷付けて、拷問を闇に隠してきた。
もし、あいつが教師に話しても、暴行の痕が無いーー証拠の無い話を誰が信じるだろうか。
崩月が自らの腹に開けた穴も、既に塞がっている。精々、服が破けている程度だ。
こんなことを繰り返しているせいか、今では痛みに鈍感になっていた。
友人のために自分の身さえ省みない崩月は、どこかが確実に壊れて、狂っていて。
傍若無人ではないが、仲間想いだが、優しくないーーそれは主に彼女自身に対して言われていることだった。
だが、それでも友人のために命を懸けられる自分のことを崩月御影は誇りに思っていた。
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