第1章『東の旅人』

9/9
前へ
/15ページ
次へ
……識者は戦術担当と言う事か? 男はそう仮定したが、しかし、気になる事もある。 今は完全に崩壊しているが、先の家の壁が吹き飛んだのは何故だろうか。 自分が崩壊する家から脱出した瞬間に今正面に捉えている三人以外、自分に気が付いたような雰囲気はなかった。 だが、武器を持つ二人も爆発物を持っているようには思えない。 ……警戒はしておこう。 男はそう決め、識者にも気を配りつつ、再度武器を構えた。 刀身は鞘にしまわれたものであるが、元々戦闘行為はする気ではないのだから気にしてはいない。 だが、鞘にしまわれた状態であっても、鞘の中には鞘が割れて刀が飛び出ないように薄い鉄板を仕込んでいるので、当てればそれなりの威力にはなるものであり、鞘自体の耐久力を考えなければ石を砕く事も出来るだろう。 そんな事を考えつつ、視線を三人以外の兵士たちに向ける。 彼らは微動だにせず、静寂を保っているが、これは彼女らの邪魔になると踏んでいるからだろうか。 ……まあ、楽になるか良いとするか。 ふと、正面の三人が動いた。 来る。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加