第一章

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「泣くほど行きたい所ってどこなんだ?というか、この本の中の僕と間所は何してるんだ?」  柏木のとんでも雑誌から視線を戻した水野が、至極真面目な顔で俺に問う。    こいつは本気でそんなことを言っているのだろうか?  斜め読みでもしてたのか。はたまた天然なのか。  ま、確かに学問以外の事象にはとことん興味のないやつではあったが……。  それにしてもこの人ごみはなんだ。  しかも八割は女の子だ。明らかに10代、20代の学生から、熟女世代まで。とにかくこの集客力は半端ない。  だが、謎なのは、それが女子ばかりだということだ。いったい男は、どこにいったのだろう。      いきさつはこうだ。  一週間前、同じ大学に通う柏木 亜湖がやってきて俺に言った。 「この間の件でお礼がしたいって、間所君、あれまだ有効?」
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