No.1 セーラ

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背景* 天に住まう神の一人、天界をまとめる天煌神の娘。しかし、彼女が誕生した時にはすでに兄が一人いたこと、セーラの力は天煌神としては劣るものであったこと、それに比べて兄スカイが歴代の天煌神の中でも屈指の実力を持っていたことなどから、彼女はほぼ必要ない存在、しかし天煌神としての立場だけを受け継いでいたため、城で半ば幽閉状態で育てられた。ある日下界を覗いていると、森の中の小さな村を見つけ、興味を持って観察していたところ、少年、幽が気にかかるようになる。しばらくすると、自分と彼の境遇が似ていることに気がついて、いつしか下界を覗くときは彼の姿ばかり追いかけるようになった。そのうち、彼に恋をしてしまう。しかし、種族違いの恋は禁忌であり、その恋が成就することはまずなかった。そんなある時、セーラに縁談が持ち出されることになる。それは、将来彼女は、天煌神の座につくスカイの補佐をする者となるはずであったが、あまりに能力がスカイに比べて劣るため、結婚相手を彼女の代役、スカイの補佐役に立てるためであった。しかし彼女は未だ幽に焦がれていたため、婚約者ロッドとの縁談も反抗してばかりだった。ロッドにその理由を尋ねられ、人間を愛していることを打ち明ける。ロッドは、自分に呪いをかけて罰(天界追放)を受ければいい、と言い出す。セーラは勿論反対していたが結局その案を受け入れた。一方、スカイはセーラの心を幽が縛っていると知っていたため、自ら下界に赴き、彼の村を焼き払ってしまった。それは直接彼を殺すよりも村ごと焼いてしまったほうが諦めるのも早く、馬鹿な真似をする可能性も低くなると考えたためであったが、セーラは既に下界を覗く暇もなく、作戦を実行に移してしまった。罰は勿論天界追放であったが、下界に降りてから幽の村を見て落胆する。そこへ、セーラを追って下界へ降りたスカイに真実を告げられる。彼らは神秘の森の屋敷に暮らすようになったが、セーラは幽を探すことをやめようとはしなかった。6年の後、とうとう生き残っていた幽を見つけ出し、屋敷で共に暮らすようになる。二人が愛し合うようになったがある事件が起こって幽が殺されてしまう。死体は屋敷傍の泉に放られていたため、泉に自分の全魔力を注ぎ、その魔力で幽の魂から姿と意識、声を表した。セーラは不老不死、幽の未練はセーラであるため、彼らは文字通り永遠に結ばれ、今も愛し合っている。
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