ナオキ

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その週の半ば、ナオキと帰りの電車が一緒になった。ナオキには本当に色々な事が正直に話すことができる。今回のミサの件もナオキには聞いてもらいたかったのだ。 「なぁ。俺、好きな人が出来たかも知れないんだ。」 わくわくしながら、そう切り出した。 「へぇ。お前がね。うまいこといきそうなのか。」 「いや分からない。でも来週、一緒に勉強することになった。」 「そうか。可愛い子なのか。容姿のクラスはどれぐらいなんだ。お前とクラスが違いそうだったら最初からやめておいた方が良いぞ。」 ナオキは容姿のクラスを気にした。そりゃそうだろう。まだ過去の出来事を引きずっているのに違いない。 「それが分からない。去年の基準からいくとAではないように思う。」 容姿の基準は毎年変わる。昨年のミスユニバースが基準になる。去年のミスユニバースはイタリア人が選ばれた。鼻が高く、目が青い。イタリア人らしいイタリア人だった。ここ数年、ヨーロッパ勢から選ばれている。現在の基準でAクラスの日本人女性はいるのだろうか、と疑問が湧いてくるほどである。 今年の俺の容姿の点数は37点である。中学生の頃からやや顔立ちが変化したせいなのか、少し痩せたせいなのか、基準の変化のせいなのかは分からないが、毎年少しずつ点数は上昇しているのだ。点数は上昇しているがクラスはDクラス。悲しすぎる。 ナオキは別れ際に言った。 「そうか。その恋成就すると良いな。」 「ありがとう。とりあえず頑張ってみるよ。」 そう答え、ナオキを見送った。
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