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プロローグ
21世紀も終わろうとしている世紀末。日本の借金は、年々増すばかりである。その額も3000兆円を超え、日本は崩壊寸前となっていた―――
庶民の暮らしはというと、今世紀初頭から、女だけでなく男もオシャレをするようになり、現在では美しい男性・女性が良しとされる時代となっていた。
また、遠方の国サウジアラビアでは四年に一度、大きな祭りが行なわれる。潰れそうな国があれば、まだまだ豊かな国はある。今世紀の半ば、「いよいよ本当に原油が底をついた」という噂が流れ、原油の値段が一気に高騰した。しかし、発表こそされてはいないが、おそらく原油が無くなるというのは真っ赤なウソだったのだろう。それからというもの、サウジアラビアはドンドン経済力を付け、世界ナンバー1の経済力を持ったのだ。そのサウジアラビアで、四年に一度「美少女コンテスト」が行われることになった。優勝した人間は、王宮で働くことを条件に賞金5000兆円を授けるというものだった。
わらをも掴みたい思いの日本は、その賞金に目を付けた。国民に協力してもらい、この賞金を得ようと考えたのだ。そこで、国民には、美少女を生んで貰わなければならない。そのために、美男子と美少女を結婚させ、子どもを作らせる。まさしく速いサラブレッドを生み出す方法と同じ方法が採用された。
そこで作られた法律が「容姿点数恋愛制度」である。賞金を獲得することは日本国の国家プロジェクトとなったのだ。
しかし、その「容姿点数恋愛制度」は庶民にとって、自由の恋愛が認められないことを意味していたのだ。
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