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恋をした
二十一世紀末―――。
東京の武蔵大学の中央広場に置かれたベンチで、昼寝をしている一人の男子学生がいる。名前はマサル。彼は悩んでいた。先日、恋をしてしまったのだ。マサルがこの世に生まれ二十年目。彼が恋をしたのは人生二度目のことである。
女性を好きになることはあっても、今まで女性と付き合うということに無縁だった俺。理由は一つ。「ビジュアルがかなりひどい」である。しかしそんな俺も、中学生の時に同級生の女の子に恋をした。しかし、容姿点数恋愛制度という法律により、その恋は動き出すことなく、墓場に眠ることになってしまった。
ここで、その容姿点数恋愛制度という法律を説明しておこう。毎年「容姿点数審査会」が全国一斉に行われる。審査するのは人間ではない。容姿を点数化するためだけに開発されたロボットである。噂によると一〇〇点満点の基準は、昨年ミスユニバースに選ばれた人間だという。そのロボットに審査される人間は、中学生以上の全ての男性・女性が対象となる。そして、点数によって階級分けされるのだ。
1~20点がEクラス。21点~40点がDクラス。41点~60点がCクラス。61点~80点がBクラス。81点~100点がAクラスと分けられる。その階級が決まったら、同じ階級の男女でしか恋愛をしてはいけないという法律である。
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