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ある土曜日、コウヘイとリキと飲みに行った。学生の集りで、高級な居酒屋には行けない。全品三〇〇円のチェーン居酒屋を三人は選んだ。店内はワイワイガヤガヤ。学生、若手サラリーマンたちが楽しそうにやっている。なんとラッキーな事に俺たちで店内の客席が埋まった。
「乾杯。」
三人はビールジョッキをぶつけ合った。俺たちはプロ野球の話、アイドルの話、思い出話など酒の肴に持ってこいのネタで盛り上がった。
「リキ、お前彼女とどうなんだ?」
コウヘイが話題をかえた。
「どうって普通だよ。就職が決まったら結婚しようと思ってるよ。コウヘイは彼女できたのか?」
リキがコウヘイに聞き返した。
「いや、彼女はできてないけど、Cクラス同士の合コンで毎週盛り上がってるよ。」
俺は、リキの答えは、予想通りで驚かなかったが、コウヘイの答えには驚いて聞いてしまった。
「えっ。Cクラス同士の合コンなんてあるのか。」
「おう。あるけど、マサルの方はないのか。」
「ない。」
いや、本当はあるのかも知れないが、誘われたことはないし、そのようなものがあることを聞いたこともなかった。こんな事でもCクラスとDクラスの差別は存在する。少しイライラしている俺に、リキが口を開いた。
「マサルはそっちの方はどうなんだ?」
「えっ、あっ、うん。」
言うべきか言わないべきか迷い、曖昧な返事になってしまった。
「なんだ、それは。何かあったな。」
勘の良いコウヘイが、突っ込んだ。
「ん、ん。そうなんだ。この前さぁ…」
俺は、この前あったことを二人に話した。
「そうか。それだったら、思い切って話して友達になれば良いじゃないか。」
イケメンのリキは言った。その横でコウヘイもうんうんと頷いている。
「それはそうなんだけど。」
そう答えながら、前回の失恋が頭をよぎる。今以上に好きになって、容姿のクラスが違うかったらどうしよう。
その夜は、次、その彼女と接する機会があれば、話かけることにしようという結論で解散した。
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