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「あぁ、いえ、俺の方こそ……すみませんでした……」
「え……あー、気にしないでください」
男に倣うように頭を下げた和那に、暫しきょとんとしていた彼は顔の前で手を振ってまた苦笑いを浮かべる。
「慣れてますから」
「……すみません」
返す言葉に迷った和那だが、結局謝罪の言葉が唇から零れて。
男は困ったように笑い、風に騒ぐ砂を靴の裏で撫で付けた。
ふわりと、和那と男の足元で砂が小さく跳ねる。
「……あなたにお願いがあるんです、けど」
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