542人が本棚に入れています
本棚に追加
/373ページ
「はい。あ、でも所詮文化祭の展示用なんですけどね」
「むり! 絶対むりです、そんなの!」
大したことじゃないと簡単に言ってのけた彼は、和那の拒絶に瞬きを繰り返して眉尻を下げた。
「どうしても、むりですか……?」
「だって、そんなのしたことないです。大体、別に俺じゃなくてもいいでしょう?」
「……俺が撮りたいのは、この風景なんです」
唇を尖らせ、どこか不機嫌そうに男は和那から視線を外した。
男の視線の先に広がるのは、更に濃くなった闇に浮かぶ月と星のシルエット。
最初のコメントを投稿しよう!