寂しい正月 *俺様ピアニスト*

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以前、自分は家族とは上手くいかなかった分、お前には同じ思いを味わって欲しくない、と言われた事がある。 月山薫にとって、家族っていうのは、すごく繊細な部分でもある。 その事を知っているからこそ、家族に歩み寄る努力をしようと思った。 『……なんか、生き生きしてんな、お前』 「え?」 小さな声だったけど、ちゃんと聞き取れた。 『なんだよ。俺と一緒じゃなくて、寂しいって泣き付いてくるかと思えば、そうでもなさそうじゃねえか』 「なっ…!楽しんで来いって言ったの、あんただろ」 しかも、平気そうなのも、あんたの方だろ! 『だからって、恋人を捨てて行ったってぇのに、そんな楽しそうにされると、なんかムカつくんだよ』 「すっ…!人聞き悪い事、言うなよ!あんただって、俺と一緒じゃなくても全然平気そうじゃん!俺は、寂しいって思ってんのに…!」 ムキになって怒っていると、クスクスと笑い声が聞こえてきた。 まさか……。 「あんた、からかっただろ!?」 『いや?それにしても……俺と一緒じゃなくて寂しい、ねぇ?ふーん?』 意地悪な、ニヤニヤした口調の月山薫に、ギリギリと奥歯を噛み締める。
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