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くっそー!!
根性悪な奴!!!!
「なんだよ、寂しかったら悪いのかよ?会いたいって思ったら、悪いのかよ」
開き直りながら口早に言うと、喉を鳴らしながら笑う月山薫の声が聞こえてきた。
ちくしょー……。
こっちは、いっぱいいっぱいだってのに。
「もういい…!切るからな!」
『バーカ、拗ねんなよ』
「あんたが、俺をからかうからだろ」
『俺も寂しいんだよ』
不意に言われて、びっくりする。
ぴたりと止まった俺に、月山薫は優しい声で囁く。
『俺だって寂しいに決まってんだろ、バーカ。好きな奴が傍にいねぇのに、寂しくない訳ねえだろ』
………ずるい。
そんな風に言われたら、余計に寂しくなるじゃんか。
会いたくなるだろ、馬鹿野郎。
「うん……寂しい」
そう呟くように言うと、より一層、月山薫に焦がれる気がした。
寂しい。
傍にいたい。
顔が見たい。
会いたい……。
『初詣。一緒に行くか?』
「え?」
言われて驚く。
俺が行きたいって言っても、『人混みが嫌だ』とか、『ダルい』って言って、行こうとしなかったのに。
『なんだよ。初詣ぐらいは、外に出られるだろ?それとも、正月の間、ずっと家族ベッタリしてねえといけねぇのか?』
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