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「あ、糸井さんからだ」
シンプルな品の良さが滲み出ている年賀状に、流石だなぁと納得させられる。
やっぱり、こういう所でも人格って滲み出るものなんだろうな。
シンプルなのに、全く素っ気なさを感じさせないのは、きっと糸井さんの人格からくるものなんだろう。
「可愛い。これは氷川さんだな」
送り主を確かめると、思った通り氷川さんからだった。
羊のイラストが可愛いし、色使いや文字までもが女性らしい可愛らしさを醸し出している。
その可愛らしさが、氷川さんの可愛いらしさと繋がっていて、全く違和感を感じない。
「これは…名取くんかな?」
四角四面な文字から予想しながら送り主を見ると、これまた堅い感じの文字で、名取くんの名前が書いてあった。
こんな所まで几帳面さが出るもんなんだなぁ…などと、変に感心する。
毎年、キチッと二十五日までに、全部の年賀状を間に合わせていそうだ。
「っと、あれ?これって…」
最初、神崎署長が間違えて二枚出したのかと思った。
が、送り主の名前は『氷川』とあり、氷川署長だと気付く。
「うわぁ…神崎署長にそっくり」
好みが似ているのか、DNAの悪戯か、二人の年賀状の構成がそっくりだった。
以前、佐治先輩が言っていた、『同族嫌悪』の言葉を思い出す。
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