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「これは、美香からだな」
スタイリッシュな羊のイラストに、綺麗な文字で新年の挨拶が書いてある。
何だろう……曽根さんの儀式めいた年賀状の後だからか、すごく救われた気持ちになる。
また飲みに行こうと、食事の誘いが書いてあるのを見付けて、心の底からホッとする。
恋敵ではあったけど、友情を壊す事にならなくて、本当に良かった。
「これは………時任さんか……」
時任さんが、クネクネしたポーズで写っている写真の年賀状だ。
しかも、『あけましておメェ~でとう』と書かれている。
いや、寧ろそれはいい。
それよりも…。
「え……?化け物…?」
白い毛むくじゃらの衣装を身に付けた時任さん。
しかも、やけに短いモコモコな短パン?の下から、白タイツの筋肉隆々な足が生えている。
ハガキを離して遠目に見る。
そこでようやく、ハタと気付いた。
これ……もしかして…。
「……………ひ…つじ?」
これは、アウトじゃないだろうか…。
そっと、写真の方の面をテーブルに伏せる。
うん、見なかった事にしよう。
「えーと、次は…小暮さんだな」
そこには、何も書かれていない真っ白なハガキが一枚。
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