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今年こそは、これを達成しろ、あれをやり遂げろだの、そんな小言でハガキがびっしり埋まっていて、羊のひの字もない。
あの人、皆にこれ書いてるんだろうか。
俺だけだったら、どうしよう……。
怖くて聞けません。
別に、悲しくなんかないさっ。
「次は………葉村…か?」
『あけましておめでとうございます。今年も、宜しくお願い致します』
そんな挨拶文の下に、毛糸の塊みたいなのがコロコロと八個ほど転がっているような絵が……。
どう見ても、毛糸の塊にしか見えない。
見えないのに……。
マンガのような吹き出しに書かれているのは……。
『めぇ~』
羊か?
この毛糸の塊みたいなのが、羊なのか?
どう見ても羊には見えないけど、羊なのか?
あれか?
ピカソ的な、見る人が見たら分かる絵ってやつか?
え?
葉村画伯?
どうしよう……これはスルーすべきなのか?
まあ……確かに……動物的な何かに……見えなくもない…かな……うん…。
……どうして、手書きのイラストなんか描いたんだ、葉村。
そこで、去年に中川さんの手書きの文字が話題になった時、『いいなぁ。僕も、絵ぐらいだったら描けるかなぁ』なんて、絵を描ける技術も何の根拠もなく言っていたのを思い出した。
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