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「いや、味が薄いんではないかと思いましてねー!! プククク」
「あぁ!? 十分な味付けだ!」
「いや、私は、ソースもいいのでは? と思いましてねー」
「てめぇ、やってみろよ? あぁ?」
「まーあ? ソースラーメンならぬぅー……、ソースカレーでも食べればいいんじゃないでしょうかぁー!! アッハッハッハッハ!!」
俊が盛大に笑う、それを睨む有原。ズイッと俊に近づく有原。
「良い度胸だ……、トンカツを食べれると思うなよ……?」
「今度はしょうゆのトッピングがご所望の様だな……?」
マンガならドン!ドン!と顔のカットインの場面だろうと思う彰吾。
彰吾からしたら何とも低レベルの喧嘩過ぎて、止める気も失せていた。
にらみ合いが始まり、俊と有原の二人の空間だけ、異様な空気を可持ち出す。
しかし、にらみ合いのままお互いに自分の昼御飯を食べている。
何だこの、格闘マンガの師匠に御飯を取られない様にするあれは……、あれか? 御飯食べている時も修行だ!と言って御飯を掻っ攫うあれか?と思う彰吾。
「……ん?」
ソースカレーを食べている有原が不思議そうな顔をしてカレーを見る。そして、もう一度ソースカレーを口に入れる。
「……、うまい…?」
などと、有原が衝撃の発言。さすがに彰吾と俊はドン引きした。
絶対に味覚がおかしくなったに違いないと思う彰吾。
「いや、多分、うまい……?」
「いや、多分、まずい……」
「いや、多分、美味しいかも……」
有原が彰吾と俊に言う、彰吾は信じられずにいたが、俊の反応だけおかしかった。
そう言うと、有原がソースカレーを二人のテーブルの真ん中に置く。
周りもソースカレーに興味が沸いているのか、静かに彰吾と俊を見守る。
「食ってみ?」
彰吾は少し引きつった表情でソースカレーを見る。そんなことを気にせず、俊はスプーンを有原から借り、ソースカレーを一口食べる。彰吾は俊を見つめる。
「……、うまい……?」
と、俊が言った。さすがの彰吾もソースカレーが気になり、ソースカレーを一口貰う。
「……、うまい……ような……」
「なんというか、コクが出た?」
「深みがあるような感じもある」
彰吾が言うと有原と俊が言う。三人の会話を聞いた周りの生徒はざわつき始める。
未開の地を開拓したような物だ、そりゃあ気にもなる。
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