第一章

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 私はお父さんとすること、行く所はたいてい好きだった。  必ず何か面白いことが待っているからだ。  彼は面白いことを見つける天才だった。  山に行けば山菜が採れたし、アドベンチャー広場で遊べたし、木登りが出来た。音が鳴る葉っぱやダンゴムシや綺麗な景色が私を待っていた。  海に行けば釣竿の先に吊るすほんのり光る虫寄せライトや大漁のアジ釣りやその場で揚げた美味しい唐揚げ、大きな波や浮き輪やカニや朝焼けの空が見れた。  彼は私たちを楽しませるだけでなく、自分も本当に楽しんでいた。  私にはそれが嬉しくてたまらなかった。  一歩引いて見守られるより、一緒に遊べた方が百倍楽しかった。
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