第一章

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 最初はできるよね?で始まり、揉めに揉めた末に私が折れ、完逐した。  ものすごい勇気を振り絞って、真っ赤になりながらどもりどもり「あれはどこにありますか」と聞いた。達成後はドクドクいって体が火照っているのを感じていた。  それ以来こいつはやれるなと判断した父は、たびたびお願いしてきた。  腹が立つのと怖いので一時期完全拒否を決め込みゴネまくったこともあったが、しばらくして知らない人に声をかけるのを躊躇わなくなった。  度胸がついたのだと思う。まったくいい経験だったものだ。
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