第一章

16/28
前へ
/30ページ
次へ
 父は二年前に無事再婚を果たした。  実は四、五年前から、私に相談を持ちかけていた。 「お父さん再婚してもいいかな?」  答えはいつだってノーだった。  だって私はお父さんが大好きだった。子どもの独占欲だ。それは、今だって変わってない。  でも私は段々と気づいてしまった。私の子どもっぽい独占欲のせいで、お父さんが独りぼっちで一生を終えるなんておかしい。  本当にお父さんが好きなら、放すべきだと思った。小さな頭で一生懸命葛藤していた。  お父さんが本当に再婚を決めた時は驚いた。  再婚を決める相談なんてなかった。事後報告みたいなものだった。  「再婚することにしました。この間プロポーズを受けて貰いました。」  その日は泣き明かした。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加