第一章

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 私たちが別れ合った日のことはよく覚えている。  その日は雨だった。  傘を差して車に荷物を詰めるのを手伝うお父さん。その顔は悲しそうな笑顔。  抱きつく私と妹。  背中に手を回すお父さん。  苦々しい顔で待っている母親。  車に乗り込んで、後部座席から父を見た。  目は逸らしたくなかった。一秒でも長く見ていたかった。鮮やかな記憶として焼き付けておきたかったのだ。  いつまでも見ている私たち姉妹を見て、母は舌打ちをした。  急発進される車に、父は手を振っていた。  ゴミみたいにぼやけて見えなくなるまで、私は目を離さなかった。
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