第1章

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「は?」 いきなり正義の味方だと言われても、驚きを通り越してただ呆れるだけだった。 「心配しないで。ちゃんと仲間もいるわ!」 「あっはい……そうですか……」 「月給も出るわ!」 「出るんですか……」 「活動は明日の夜からよ。予定表渡しておくわね」 「それはどうも……」 頭が追いつかない。具体的にどんな活動をするんだろう。月給いくら? あと仲間って誰? ていうかこれバイトに入るのでは? 学校に申請すべき? 「色々と心配かも知れないけれど大丈夫。僕もはじめはそうだったから」 「森村さんもやってるんですか、正義の味方」 その問いかけに森村さんは目を輝かせながら答える。 「もちろん!」 森村さんは紳士的で落ち着いた雰囲気の人だと思っていたんだけれど、案外ノリノリで正義の味方やっちゃうタイプなんだね……。 引いた訳では無かったが、意外すぎてどんな顔して何を言ったら良いのか分からない。 そんな中、大家さんが手に鍵を持って戻って来た。 「待たせたな。……よし。これで俺の仕事は終わりだ! あ、シュウキも戻って良いぞ」 「はい。では失礼します」 言うが早いわ、森村さん(下の名前はシュウキーー柊樹だと教えてもらった)はこの部屋を足早に去って行った。 「あ、それじゃ私も失礼します! ありがとうございました!」 早口でお礼を言って私も部屋を出る。 「今日は木曜日だったか?」 「いえ、水曜日だから……は……な筈なんだけれど……」 ドアが閉まる直前、2人が何か言っていたが、しっかりと聞き取ることは出来なかった。
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