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森村さん家の夕食はとても美味しかった。美味しかったのだけれど、なんというか野菜が多かった気がする。しかし2人とも平然としていたからこの家ではそれが普通なのだろう。
(にしても……)
家具は殆どが木製であり、花や木など植物の模様があしらわれている。加えて、趣味というには多すぎる観葉植物や植木鉢の数。
ふと、森村さんの言葉を思い出す。
『このアパートの住人はね、変わり者だらけなんだ』
(もしかして、森村さんって植物ラヴな人なのかな。植物以外興味なしみたいな……人間は恋愛対象に入ってなかったりして)
異様とも言えるこの光景に疑問を覚えたものの、人の趣味……性癖? についてとやかく言う筋合いは無い。それにまだ決まったわけでも無いわけだし。
一旦この件からは離れよう、と気を紛らすため遠羽ちゃんに話しかける。
「そういえば遠羽ちゃんは何歳なの?」
「10歳! こないだ誕生日だったんだ!」
「10歳かぁ……そっかぁ」
相変わらず遠羽ちゃんは可愛い。どんどん自分の顔がにやけていくのが分かったが、止めようと思って止められるものではなかった。
「えへへ~~」
「何かいいことあったの? なずなちゃん」
「いや、そういうんじゃないけど……ん? やっぱりあったかも」
「よかったね! なんだか私まで嬉しくなるよ」
(……?! なんだこの子は! いい子すぎないか?! 兄妹揃って聖人なの?)
聖人は言い過ぎかもしれないが、この兄妹が放つ癒しオーラは物凄いのだ。
……なんだか自分が汚らわしいものに思えてきて、この場にいるのがなんだか申し訳なくなってきた。
居た堪れない気持ちの中、ふと時計を見ると、早いものでもう21時になろうとしていた。
遠羽ちゃんの事もあるしそろそろお暇せねばと思い立ち上がると、突然森村さんの焦ったような声が聞こえてきた。
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