第1章

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 その結果、大都会の、それも規模の大きな高校(色々な事に力を入れているらしい)に入学する、なんてことになってしまった。  もともと結構な都会には住んでいたから、慣れない訳では無いのだけれど……。  父母曰く、「その高校でやりたいこと見つけなさい」なのだが、知らない人だらけの土地に放り込まれても困る。  ともあれ、何とか入学手続きを終え、後は少ない春休みを満喫しよう、なんて思っていたら。 「あんた、引っ越しの準備まだしてないの?」と、母。 「そろそろやらないと後で大変だぞ~」と、父。 「……え、なんて?」 「だから引っ越しよ! あんた一人暮らしするの! まさかウチから通おうなんて思ってたわけじゃないでしょうね?」 「……思ってたんだけど、駄目なの?」 「駄目じゃないけど、お前朝早起きできるのか? 片道2時間だぞ?」 「あ……」 そうだ。すっかり忘れていた。片道2時間だ。しかも、帰りもそれだけ遅くなる。何でこんなこと忘れていたのだろう。 「というわけで、よさそうな物件探しておいたから、好きなの選ぶといいぞ」  父に手渡された紙には、いくつか学校に近いアパートやマンションについて書いてあった。
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