第1章

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 好きなの選べと言われたのはいいが、どうしようか? と斜め読みしていたら、ある物件に目が付いた。 (訳アリアパート……、なにそれ、どういうアパートなんだろう) 『アットホームなアパートです! 貴方も仲間入りしてみませんか?!』  いかにも怪しい(訳アリって書いてあるし)な紹介文だった。  だが、家賃も安く、学校や駅、その他施設に近かった。  それに、なんだかピンと来た。運命を感じた……気がした。 「お父さーん、これにする! この『訳アリアパート』ってとこ!」 「それか? ホントにいいのか? 訳アリって書いてあるぞ?」 「いいのいいの、それにして! じゃあ私引っ越しの準備するから!」  昔から行動に移すのだけは早いと言われてきた私なだけあって、すぐさま準備に取り掛かった。新天地での生活に心を躍らせながら。不安もあるが、なんだか今後の自分を大きく左右する生活になる気がした。 (もしかしたら、将来やりたい事とか見つかるかも!)  荷物をまとめながら考えるのは、もはや今後の事だけだ。 (住人はどんな人なんだろう? たくさんの人と仲良くなれるといいなぁ……!) (高校でも友達と帰りに寄り道とかしちゃったり? うわぁ楽しそう!)  なんて、ワクワクしながらまだかまだかと引っ越しの日を待った。  ベタな話だけれど、その後色々と大変なことに巻き込まれるなんて、この時の私はまだ考えていなかったんだ。
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