第1章

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例の『訳アリアットホームアパート』に入居すると決めてから、3日が過ぎた。  アパート側の対応の速さもあって、今日から部屋に住めるとの事だった。 (あまり詳しいことは分からないけど、3日で住めるって結構早いんじゃ?)  まぁ、その土地に慣れることも必要だと思うし、早いに越したことは無いよね。  春休みも短いし……。結局春休みゆっくりできてない! (いいもん、新居でくつろぐ! 憧れの一人暮らしだし!)  ふんふん、と鼻歌交じりにそんな考え事をしていたら、丁度電車が来た。 (これが運命への直通電車だ……!! なんちゃって)  荷物は既に送ってあるため、リュック一つで電車に乗り込む。  程なくしてドアが閉まり、電車は走り出した。  一時間くらい経っただろうか、目的の駅で電車を降りて指定された場所へ向かう。  そこには長身の、スーツを着た男性が立っていた。  他に待ち合わせをしているような人は見当たらなかったし、多分この人で間違いないのだろう。 「あの、すみません」 「ん? ……ああ、赤星さんだよね? 僕はアパートの大家から頼まれて来たんだ。急に仕事が入っちゃったらしくてね」 「あ、そうなんですね。よろしくお願いします」  うん、よかった。間違いなかった。人違いだったらどうしようかと……。 「じゃあ街の案内も兼ねて、行こうか」 「はい!」
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