5人が本棚に入れています
本棚に追加
とりあえずこの状況をどうにかしたい。しかし火に油を注ぐような発言をしたら火(2人の愛)はさらなる盛り上がりを見せる事だろう……。
「あ、あ~そうだ! 私の部屋って何号室なんでしたっけ~森村さんっ!!」
助けて!! と言わんばかりの視線を送る。
「え? えーと確か204号だよ。そうですよね、正人さん」
「おう。部屋行くか?」
「はい、お願いします!」
よし。森村さんありがとう。
「あーっと鍵……アレ……鍵……何処やった……?」
「えっ」
「由香里……鍵……」
「もう……正人さんっ! ちゃんと管理しなきゃダメでしょ!」
「面目無い……ちょっと探してくる」
「早く見つけてきてね?」
大家さんを見送った由香里さんはこちらに向き直り、穏やかに、しかしどこか重みを感じさせる声音で告げる。
「さて、ここから大切な話があるから聞いてほしいの」
「彼女にもあの事を話すんですか? 由香里さん」
やや驚いた様子で森村さんが身を乗り出す。そんなに大切な事なのだろうか。
「ええ。ここに入居するのだから、もう彼女も無関係では無くなるわ」
というわけで、と由香里さんはにっこり微笑む。
「あなたは今日から正義の味方よ」
最初のコメントを投稿しよう!