序章

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赤黒く染まる地面。 人通りの少ないその場所で、鮮血に彩られた『それ』は月明かりを浴びてきらきらと輝いていた。 そして、その煌びやかな地帯に美しい少女が、一人静かに立っている。 否、一人というのには少し語弊があるかもしれないが──── 「瞳……美……?」 その少女の名を呼ぶ。 返事は返ってこない。 代わりに返ってきたものといえば、先刻の純粋な笑顔とは対照的な、狂ったような笑顔だけである。
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