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「今日から高校生だね!また三年間よろしくっ!」
「おう遥。そういやお前も馨西高校(かぐわにしこうこう)受かったんだったな。」
「あはっ!ムーくんと同じ高校行きたくて頑張って勉強したんだよ?……ってなんでちょっと忘れてたっぽい言い方なのさー!」
そう言うと遥は立ち止まり、手を振り上げてプリプリと怒る。
実際無月と遥は同じ日に受験をし、同じ日に合格を決めたのだから、無月が遥と同じ高校に通う事を忘れているはずがないのである。
「あはは、悪い悪い。冗談だよ。」
「ぶーっ、焦っちゃったじゃん。もー……」
遥はそのまま手を下ろし、再び歩き始める。
こうして幼馴染みと二人で登校してる姿は、第三者から見れば地元の中学から地元の高校に進学したように見えるのだろう。
しかし、実はこの二人の通っていた中学校は馨町からかなり離れた所にあるのである。
中学三年生の時に無月の親が転勤することが決まり、別の地方の高校に行くことになったので、それを遥に告げたところ、偶然遥の親も全く同じ地方に転勤するというのだ。
なんとも奇妙な偶然があったものだが、やはり知り合いが一人いるというだけでも幾分か気が楽になるものである。
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