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「ねえ功さん、机の上に置いてあったチョコレート、食べてもいい?」
その手に握られた箱をわずかに俺の方へ差し出して、お嬢様は可愛らしく首を傾げる。
ふわりと、甘い香りが立ち上った。
「……っ!!」
差し出された、箱。
ラッピングが、綺麗で。
甘い香りが、思考を乱して。
……受け取れば彼女は、知らない男の所へ行ってしまう。
「っぇ……?」
とっさに俺はお嬢様の手から箱を叩き落とすと、衝動のままに細い体を壁へ叩きつけた。
力加減ができなかったせいで華奢な体が壁にぶつかり鈍い音が響く。
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