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「んっ、ふ……」
その文句を言わせるよりも早く、俺はその唇に噛みつくようにキスをした。
反射的に逃げようとするお嬢様を、文字通り貪る。
「お嬢様……」
キスの間に自分の口から勝手にこぼれる言葉は、自分でも胸焼けするくらいに甘ったるい。
「お嬢様……お嬢様………」
……そうか。
口に出せない間に、胸の内に溜まり続けた想いは、こんなに煮詰まってしまったのか。
「ふぁ……こう、さん………っ!!」
お嬢様の深い漆黒の瞳の縁には、うっすら涙がたまっていた。
酸欠で思考に霞がかかったまま、俺はその涙を舌先で舐め取る。
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