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「私はもう、『お嬢様』じゃ、ないよ……っ!!」
だがその言葉で、はっと我に返った。
そんな俺を 依代 は、涙でうるみながらも強い光を宿す瞳で、まっすぐに見つめていた。
「私はもう、功くんのお嫁さんの、荒木依代だもの。
安崎依代じゃ、ないもん……っ!!」
そうだ、あの時も。
チョコレートの箱を叩き落として、初めて依代の唇を味わって。
彼女をさらって、ここに来て、……全てを、奪って。
「名前で、呼んで……?」
あの時と同じ言葉で、彼女は俺を誘う。
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