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ちび忠実――ざどきえるは、驚愕の顔で自分の真上を見上げていた。
正確に言えば、自分を受け止めた“巨人さん”を見つめていた。
「怪我はないよね?」
問いかけについつい頷いてしまう。
ほっとした様子で息をついたカルは、反動をつけ半身を起こした。
さて、ここまでざどきえるは抱きかかえられたままである。
ちょっと焦るざどきえるを気にする様子もなく、カルは周囲をぐるりと見渡した。
「あぁ、いたいた」
目当てのものを見つけたらしく、独り言はざどきえるにしか聞こえてはいなかった。
「うさ……?」
彼の視線の先を追えば、らふぁえるとかまえるの姿。
追い払ったらしく、先のノーチェの姿はどこにもない。
らふぁえるの前に立ちながら警戒心をむき出しにしているかまえるは、今にも放電しそうに見えた。
ため息が1つ頭の上から落ちてきた。
「何もしないよ」
言いながら、ざどきえるを地面に下ろす。
なんだか久しぶりな気がする草の感触。
足踏みしつつ
「ほら、行きなよ。君の仲間が待ってる」
「う、……うさぁ?」
ちょっとだけ困惑。
お礼を言おうと呼び止めるけど、悲しいかなカルにはざどきえるの言葉は鳴き声としてしか届いていなかった。
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