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所変わって。
カルはといえば、紹介所を訪れていた。
「……」
ちびたちの出現場所の確認のためである。
まさか2匹――駆けつけてきた1匹を合わせて3匹同じ場所にいるなんて、誰が予測しただろうか。
3匹つれていけば早いのだろうが、なんとなくめんどくさかった。
息を吐いて、カルは紹介所の扉に手をかけた。
そこに居たのは店主ではなかった。
「いらっしゃいませー」
鼓膜を揺らしたソプラノ。
見覚えのあるぐるぐるメガネの娘は、訪れた人間を見てメガネの奥で目を丸くした。
「こんにちは。アリスさんは……留守?」
「えーっと。今ちょっと出てます。帰りはいつになることやら」
「そう。件の依頼書を見たいんだけど……」
「えっ、依頼の完了報告じゃなくてですか?」
「……?」
互いに目を丸くさせた。
どう言うべきかと迷ったロゼは、青年の後ろを指した。
「えっと……、うしろに」
「うしろ?」
カルの背後には、ちび忠実ことざどきえるが立っていた。
ざどきえるはなんとなくどやぁとした表情を浮かべ、カルの元へ駆け寄ってきた。
†
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