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「うさうさぁあ」
さすがはウサギと言うべきか。
ぴょんと跳んだざどきえる、そのままカルへまっすぐ落ちる。
ついつい受け止めてしまったカルは、ぽやぽや笑う小さな天使を見据えた。
「ついてきたの?」
「うさ!うさうさうさ!!!」
何度も頷くざどきえる。
何かを伝えようとしているようだが、その言葉の意図をカルは理解しえない。
とりあえず頭を撫でてみると、ざどきえるは気持ちよさそうに目を細めた。
「ねぇ。よくわからないけど、貴方にお礼が言いたかったみたいですよ」
「!? 言葉、わかるの……?」
「ふふ、一応」
驚きの色を宿した色の違う瞳。
ロゼはゆるやかに口角を上げた。
「うさぁあ。うさ」
「えっと。“さっきはありがとう。空を飛ぶのを忘れてたの”ですって」
「通訳ありがと。……気にしなくていいのに」
ざどきえるは首を振る。
真っ赤な瞳に青年を映し、先まで頭を撫でていたカルの手を掴まえた。
「うさうさ」
「“ぼくがお礼を言いたかったの”だって」
†
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