「嘘」

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少年は生まれて初めて、他人のために涙を流した。 嘘だと信じたかった。 だが、現実はあまりにも残酷なものであった。 死因は警官による誤殺。 脱獄した異常癖者を捕らえるため、警官は所持していた拳銃を数回撃った。 その内の一発が、偶然にもそこにいた少女に流れ弾として直撃した。 「そういうわけだから、蒼太くん…ごめんね。私も突然すぎて…」 電話越しではあるが、少女の母親が泣き崩れたのは声の震えですぐに分かった。 少年の覚醒した虚言癖の能力、それは《絶対的な嘘》。 “どんな嘘でも相手に信じ込ませる”ことができる力。 「何で泣いてるんですか。おばさんには……“娘なんていない”じゃないですか」
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