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場所は変わり、とある廃墟ビル。
薄暗い部屋に、目と口と両手両足をガムテープにぐるぐる巻きにされた小太りの男が、うごうごと必死に体を動かしていた。
小太りの男のガムテープの端からは、涙や涎などが零れ落ち、顔は恐怖により青ざめている。
そんな男を、近くに座り無表情で眺めているもう一人の男がいた。
「なんだかなぁ……つらまらないよなぁ……犬の話でもしようか?おい、犬好きか?うん?」
男は、ガムテープに巻かれている小太りの男の口元だけ剥がす。
「だっ、頼む!!助けでぐれぇ!!」
そんな男の叫び虚しく、強めに顔面を踏まれる。
「なんだかなぁ…質問無視されるのは嫌いだなぁ…。犬は好き?」
「ふぎっ、す、好き、でず…」
途端に男の声が明るくなる。
「俺も!俺も好きだよ。犬は素直で、人間に忠実で、とっても良い子なんだぞ。でも知ってる?犬はな、本気を出せば、人間なんてすぐに殺せるんだ。そんな本性を隠して牙を丸くした飼い犬は、俺、ほんとに、ほんっとーに……」
男は小太りの男に、刃を突き立てる。
「しつけころしたくなる。」
どこからか、犬の遠吠えが聞こえる。
小太りの男が、最後に聞いた音だった。
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