つーわん

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「わん!わわわん!!」 「……とまぁ、事故後、このような状態でして。」 マメ太は、集中治療室に居た時は一般の病院だったが、言葉が通じないと分かると「メンタルヘルス科」病院へと移された。 しかし、両親が息子圭太への治療の中止を希望し、その後まもなく圭太は両親から縁を切られ孤児となり、「児童養護施設」へと預けられることとなった。 そして今、圭太となっているマメ太は、児童養護施設「はっぴぃちゃいるど」の入り口に立っている。 マメ太の手を握っているのは、病院関係の人物だ。親とはもう連絡が取れないことになったので、病院側が連れてくることになった。 「ほう。ほうほう。確かにこりゃ、犬だねー。」 「わふ!」 「自分が犬と思い込んでしまっているのか否か…食べ物も、ドックフードを好んで食べます。」 目の前には児童養護施設の先生がマメ太をじっくりと観察していた。 「まぁ、任せて下さいよ。犬でも猫でも、子供は元気が一番!」 「いやはは、西堀先生なら、そう言ってくれると信じていました。それじゃ、私はこれで…。」 そそくさと、マメ太を連れてきた男は去っていった。 マメ太は、さっそく目の前の人物に飛び付いた。 「わふーん!!」 「はははっ、懐っこいなぁ~。自分の名前、言えるかな?」 「わん!!」 とりあえず何か聞かれているのは感じたので、返事をしてみる。 「はははは。こりゃ犬だねー。犬だわー。はははは。」
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