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マメ太は、大小それぞれの三人の人間を見つめる。
一番大きな背の人は見た目20代後半くらいの白い髪を一括りに縛っている西堀先生。マスクをしている。
あとの二人はマメ太と同じくらい、6歳前後の男の子と女の子。
大塚(おおつか)と呼ばれた男の子は、短髪よりかは少し長めの黒髪に、容姿端麗と呼ぶに相応しい整った顔立ちをしている。
與儀(よぎ)と呼ばれた女の子は、長い栗毛色の髪を三つ編みにしていた。
しかし、マメ太の覚えかたは見た目よりも匂いだ。
以前よりかは嗅覚が衰えてしまったことに戸惑いつつ、持ち得る嗅覚を最大限に引き出す。
西堀の匂いは、日だまりのような暖かい匂い。
大塚の匂いは、海のような爽やかな匂い。
與儀の匂いは、花のような甘い匂い。
「わふん!」
よし、覚えた!といった風にマメ太は満足気に吠えた。
「わふん!だってー。先生、こいつ何ー?誰ー?」
「変なのー。わんちゃんみたいな座りかたしてるよー?」
手を繋いでいなければ、すぐに犬座りしてしまうマメ太だった。
「この子はな、今からお前たちの友達になるんだ。」
「わんわん!」
「えぇー?わんわんって、言ってるよ?ふつーに喋れないの?」
「ふつーじゃないよね!」
西堀は、大塚と與儀の頭を優しく撫でる。
「ふつーだよ。よく見てごらんよ。」
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