46人が本棚に入れています
本棚に追加
108番は、毎晩悪夢にうなされるのだという。
クッソホラーとは言っていたが、起きた瞬間には、その夢の内容を忘れてしまうのだと言っていた。
「そうか…良い夢見れると良いな!…しかし、最近のお前荒れすぎだぞ!弱いやつらから、何だっけ、キッテ?ってのをカツアゲしやがってよー…」
「しょうがないだろ、kitteが無いと生活が苦しくなってきたんだ。」
108番が言うには、キッテはどうやら金のようなもんらしい。
この施設にだけ有効で、生活日用品類、雑貨、また娯楽などにも使える。
「そのキッテは、月一で全員平等に配られるんだろ?どうせ足らなくなった理由は、娯楽に使いすぎただけだろ?」
108番から反論は無い。
どうやら図星みてぇだな。
「はーぁ。お前なぁ、何に使ったんだよ?」
「それは、…」
その時、108番ははっとして喋るのを止める。
俺たちの目の前を、クスクスと笑い見下しながら複数の女が通りすぎた。
その中の、長い三つ編みを結った女は、特に見下した目を俺たちに向けていた。
過ぎ去るのを待ち、108番に耳打ちする。
「はー、ゴミを見るような目だったな、108番…」
「そりゃそうだ、53番は、首席で俺たちとはレベルが違う。」
あの女は53番というらしい。
最初のコメントを投稿しよう!