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「なぁ、108番。お前と初めて会話したときのこと、覚えているか?」
「忘れたよ、そんなの。」
俺は覚えている。
お前が弱い者苛めをしているのを発見して、俺が膝に噛み付いたんだ。
そしたら、お前は『いてぇ!なにすんだこの犬っコロ!!』と怒鳴った。
そして俺は、『弱い者苛めをするのは最低な奴だ!』と怒ると、お前は『んなこと言っても弱い奴が悪い!』と言い返した。
そこで一瞬の無言、お前は、しまった、というように顔を伏せた。
そして俺は、尻尾振って喜んだもんだ。
『お前、俺の言葉が分かるのか!?人間なのに!』
『……俺だって、どうして分かるのか…わかんねぇよ。物心ついたときから、犬の言葉は分かるんだ…。』
その時から俺は、お前はただモンじゃないと感じていた。
お前は人間だ。それなのに、番号の名前を付けられ、犬のようにこの施設に純情に従っている。
お前は人間なのに。
目を覚ましてやる、108番。
お前ならどこへでも行けるはずだ。
お前は、俺と芽次郎のように、飼われた犬なんかじゃないんだから。
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